コラム

「考えてから行動する」の弊害

 目標やゴールを決めて、そこへ向かうための課題を定義してクリアしていくことが得意だ。宣伝のディレクションはまさにそれができれば評価される。もちろん、クリエイティブができばいいが、どちらかというと進行管理能力の方が必要だ。これは事前に想定した通りに物事を進めるための能力で、ものすごく思考的である。想定外を良しとしない。

 しかし、私は知っている。どんなに想定しても何が起こるかは想定しきれない。どんなに準備をしても、プロジェクトがうまくいくかどうかの最後の最後は運だからだ。運次第で想定以上になったり、想定以下になったりする。

 子どものころから「考えて行動しなさい」と教え込まれてきた。しかし、今となっては、考えすぎて行動できなくなってきている。その結果、体験が少なくなって、体験を補うように知識を頭に入れるから、さらに「体験せずにわかった気になって」行動できなくなってしまう。こんな悪循環はない。

 今、このパターンとは真逆のことをしたくなってきている。それは目標やゴールを決めずに、「とりあえず動く」ということだ。つまり、「動いてから、考える」ということをしたい。なぜなら、考えて行動することはもうできるし、考えて行動することで、自分の視野が狭くなるばかりか、自分や周りの人に窮屈感を与えてしまったり、想定外の可能性を潰してしまっていたりするからだ。

 しかし、この一ヶ月ほどチャレンジしているのだが、考えずに動くということが、私にとってこんなに難しいことだったのかと痛感している。すぐに「何をやろうかな?」とか、「どうすればいいかな?」とか目標や手段を決めようとしてしまう癖があるのだ。

 今朝、妻に「ドライヤーの電源コードの接触が悪いので直せないかな?」と聞かれた。すぐに「電源コードを触るのは危険じゃないの?」と事実確認もせずに答えた。しかし、これはやったことがないという体験不足から適当な知識で「やらない理由」を生み出したのだ。これも「考えてから行動する」の弊害の一つ、「考えすぎて行動しない」だと思う。

 「このままでは前のパターンのままだ!」と思ったので、ドライヤーの修理を検索したら、簡単に修理できそうだった。電源コードの切れた部分を再び繋ぎ合わせればいいだけだ。幸い道具は揃っている。やらない理由はないと思い、修理してみたら、なんと30分もかからない。簡単じゃないか。

 「電源コードを触るのは危険じゃないの?」と、やったことのないことを知ってる情報だけで判断して、やらない理由を答えている自分が、なんとかっこ悪いことか。恥ずかしい。どうしてもっとオープンでいられないのか。もし「電源コードを触るのは危険じゃないの?」ではなく、「やったことがないから、調べてみるね」と答えられたら、どんなに心地よかっただろうか。

 つい数日前から、スケッチブックにボールペンで落書きをしている。この落書きは何も考えず手が動くまま描いてたらできた。最後までどんな絵ができるのか、自分にもわからない。どこまで描けば完成なのかもわからない。それが夢中にさせる魅力なのだが、描いた絵を見ていると、なぜか心が動き始めるので面白い。数人に見せているのだが、絵を見る人によって感じるものもさまざまなようで、絵を見るタイミングで感じ方も変わってくるそうだ。見る人によって感じ方が変わる絵というのも面白い。そういうようなものをどんどん表現していきたい。そのためには「とりあえず動いてから考える(Move First, Think Later)」が必要なのかもしれない。

と書いてみたものの、それもまた「とりあえず動く」ということを決めてしまっていると妻に突っ込まれそうだ(笑) 私は考えるより先にハートで動いてみたい。ただそれだけだ。

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