脳の中の「からだの地図」が誤っていませんか?

 私たちは「からだ」の大きさや「からだ」がどこでどのように曲がるのかという認識に基づいて動いています。例えば、椅子に座ったり、立ったりすることに支障がでてきたとき、違和感を感じるのはその認識と現実とのズレが生まれるためです。

 それはまるで頭の中に「からだの地図」があるようです。それはボディマップと呼ばれ、 1937年に脳神経科学者のペンフィールドによって、体性感覚野と運動野の地図として発表されました。

 しかし、私たちはボディマップについて、親や学校で教わったりすることはありません。ボディマップは生活のなかで癖やパターンを内包しながら身についているので、人それぞれ違うと言われています。

ボディマップは誤ることもある!?

 何らかの理由でボディマップが誤ることがあります。例えば、骨格のボディマップが誤っていると、動かないところを無理に動かそうとしてしまい、最終的には曲がるところが曲がりますが、それを続けると関節や腱を痛めてしまいます。

 また、車の運転や楽器を演奏するときなど、何かの活動を始める瞬間に現れるボディマップの誤りなどもあるようです。私が一番多いと感じているのは、上半身と下半身のボディマップの誤りです。それにより非効率なからだの使い方をすることで、腰痛を起こしている人がとても多いと感じています。

ボディマップは、からだを知り、効率的なからだの使い方をすることで修正することができます。ボディマップを修正、更新していくことをボディマッピングと呼びます。

よちよち歩きの子供に学ぶボディマッピング

 ボディマッピングは、書籍や専門家から学ぶことができますが、よちよち歩きを始めた子どもからも多くを学ぶことができます。

 人は生まれると、まず脳を大きく成長させるため、赤ちゃんは頭が一番大きくて重いです。そして、筋力が発達していないにも関わらず、よちよち歩きを始めます。よちよち歩きは、筋力ではなく、全身でうまくバランスをとることで歩いているのです。

 このように無理な力を使わずに歩くことは、最も効率的なからだの使い方と言えます。子どもを観察していると、左右同じ側の手と足を一緒に出す2軸歩行(なんば歩き)をしていたり、物を拾うときは、腰を曲げるのではなく、足首、膝、股関節を曲げています。この動きは大人が学ぶべき効率的なからだの使い方です。

 私たちが慣れ親しんでいる左右交互に手足を出し腰をひねる軍隊歩きは、明治以降にから入ってきたと言われています。日本人より背骨の湾曲が深い欧米人には、この歩き方が効率的なのかもしれませんが、日本人には不向きな歩き方だと私は思います。

 歴史的に見ても、武術や能、お祭りなどの動きは、なんば歩きが基本です。着物を着ているときに腰をひねる軍隊歩きをすると、帯が外れてみっともないですよね。

 また、腰を曲げるのも誤ったボディマップがあるためです。大人の頭の重さは7~8kgあるので、腰を曲げて物を拾ったり、物を持ち上げたりすと、腰や首の付け根に負担がかかります。さらには、足首や膝、股関節を使わなくなるので、関節が硬くなってしまい、血流の流れが悪く冷えの原因にもなります。

それらはボディマップが、胴体を上半身と下半身に分けているためです。
胴体はひとつ。上半身も下半身もありません。からだを知って、効率的なからだの使い方をしてみませんか?

腕はどこからどこまで?

この質問をすると多くの人が
「指先から肩まで」と答えます。

それは外から見える範囲で判断しているに過ぎません。
腕は鎖骨のからだの中心側(以下の図の(1))の骨端から動きます。

椅子に座って、腕を垂らした状態で、
(1)の部分を片側の手で触れながら、
もう片方の腕をゆっくり挙げてみてください。
動くのがよくわかります。

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この(1)を意識して、再び腕を挙げてみると、
前よりも腕が軽く挙がることに驚くかもしれません。
それはあなたのボディマップが変わり、
効率的な腕の挙げ方ができるようになった証拠です。

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