コラム

バレエを脱ぎ捨てるために踊る

3歳から9歳まで、6年間クラシックバレエを習っていた。しかし、先の記事に書いたように、私はどこか「女性らしいしぐさ」に違和感があった。

クラシックバレエは、実は、亡き母の好みでもあった。母が本当は子どものころピアノとクラシックバレエを習いたかったのだ。

私は、クラシックバレエとピアノを習っていたが、どちらも2歳年上の姉の影響だった。

大好きな姉が習っていたから習い始めたが、ほかにどんなダンスがあるかあまり知らなかったし、日本舞踊でもない、フラダンスでもない、そして、バレエが好きだという気持ちもあった。でも、照れ臭くて華麗に踊ることができないので、私が発表会でもらう役は、白雪姫の小人だとか、マジシャンだとか、やはりどこか男性の格好が多かったように思う。

自分でやりたいことを見つけたのは小学1年生のとき。「剣道を習いたい!」と親に頼んでみたことがある。母は当初は賛成してくれたものの、私が仮性近視と診断されたのと同じ時期だったので、「面の隙間から覗くというは眼に良くないだろう」という理由でダメだと言われた。

だから、実は、本当に一から自分が選んで始めた習い事というものはない。

小学4年生でクラシックバレエを辞めることになる。それは後に聞くとどうやら家庭の事情もあったようだが、姉が辞めるのに合わせて、私も辞めた。自分のなかでは「踊る」という行為自体はとても好きだったので、別のダンスを探したいとずっと思っていた。

高校生のときに、自分がやりたいのは「ジャズダンス」かもしれないと気づいたが、家庭がある事件に巻き込まれて経済的に大変だったため、習い事をしたいとは言えず、そもそも私自身が、そのころ、なにもかもやる気がなくなり学校の成績もひどかったので、そんなことは言い出せるような状況ではなかった。

その後、大人になってからも何度も習いたいと思ったが、「大人になってからダンスを始めるなんて遅過ぎる。今からやるなんて恥ずかしい」と習いにいくことができなかった。人目を気にするへっぽこだった。離婚するまでは。

再び踊ることになったきっかけは、2007年。

2002年に離婚した後、『TRINITY』という雑誌でさまざまなセラピー、チャネリングなどの「体験取材記事」を書く仕事をしていたところ「ポラリティセラピー」と出会った。セッションを受けてすぐに、自分がぜひ学びたいと思い、通い始めた。

そのなかで、5エレメントを身体表現したり、自己解放のために身体表現するクラスがあった。ポラリティセラピーは、身体と心が一つであることに気づいていき、しっかりと自分を生きられるようになるセラピーでもある。どんどん固定観念が外せていたはずなのに、音楽がかかると、とたんに不自由になる自分がいた。

足のつま先をピンと伸ばして歩く。
腕を伸ばす。
姿勢を正し、指先までピンと美しく手を動かそうとする。

せっかく固定観念を取り払い、自由になり始めたはずの自分が、またどんどん不自由になっていく。ルールのある踊り方をすることは、まるで礼儀正しく躾けられた家庭環境と同じだ。クラシックバレエを好きだったのが母だということも相まって、「また固定観念にとらわれる」「母からの呪縛が戻っていってしまうようだ」とがっかりした。

そのころ知ったのが「5リズム」だった。5つのリズムの考えは、ポラリティセラピーのエレメントに似ていた。それもそのはず、ポラリティセラピーの創始者も、エサレン研究所にいたオステオパシー医だったからだ。しかし当時はまだ日本人のティーチャーが一人しかいらっしゃらず、なかなかタイミングが合わなくて参加できずにいた。

それから積極的にさまざまなダンスのワークショップに参加した。アフリカンダンス、アフロブラジリアンなどのアースなダンスから、コンテンポラリーダンサー飯田氏の「みくさのみたから(三種之身宝)」のような日本に伝わるとされる解放の動きまで。

アフロブラジリアンはこんな感じ。神話に基づいた踊りだったと記憶している

ダンス初心者のための海外の先生のクラスにも出た。夫も当時から誘っていたが、そのなかの気になるものにしか参加しなかった。アフリカンダンスも、踊りよりも、彼は、むしろジャンベに興味を持っていた(笑)。

その後も、自分が求めるダンスを探していた。実は、夫と出会う前につきあっていた彼氏が新体操出身のコンテンポラリーダンサーだった。久しぶりにその彼から連絡があったのが2012年。そこからダンスのことで、ときどき相談をしていた。

彼にいろいろ自分のやりたいことを伝えると「コンタクトインプロヴィゼーション」のワークショップに参加してみたら?と勧めてくれた。武道にも通じるものがあるのこと。そこで、京都芸術センターで参加したのがおそらく3〜4年前。

コンタクトインプロヴィゼーション。相手の動きに合わせたり委ねたりする。昨年は夫婦で何度かワークショップに参加した。もちろんリフトとかはまだできない(笑)

そして、2年前。夏に父が亡くなり、過去のことを思い出しさまざまなドロドロしたものを感じていたころ、夜、寝ているときに突然「エレメントダンス」という言葉が聞こえた。慌てて、メモをした。

翌日、「そういえば、5リズムって、エレメントのダンスだな」と思い出して調べてみると、タイミングよく秋に神戸で5リズムのクラスがあることがわかり、速攻で申し込んだ。それが、雅代さんとの出逢いだった。

5リズム。自分が本当にどう動きたいのか……が大切であって、美しく、または、かっこよく踊っていると、むしろかっこ悪くさえ感じる。5リズムは自分のからだと向き合う時間。かっこよく見せたいというエゴを取り払う時間でもある

バレエという「見せるためのダンス」を踊ってきた自分にとって、「自分のために踊る」ということは新鮮だった。ゲシュタルト療法に基づいている……つまり、大好きな「禅」のように「自分」に立ち返るということだ。5リズムが「踊る瞑想」と言われるゆえんだ。すぐにその魅力にハマった。そして、翌年、夫が始めた。

見せるためのダンスから、自分のためのダンスへ。

今踊るのが楽しいのは自分のためだからだけど、いずれもしかしたらこれを人に見せる日が来るかもしれない。今は、歌に夢中なので少し先になるかもしれないけれど。

自分のためのダンスを踊った後、見せるためにダンスするとしたらどうなるのか。それもちょっと面白そうだ。

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