家族で応援しているシンガーソングライターがいる。三女の中学生のときの同級生だ。家族で参加した彼女の初めてのワンマンライブは100人が集まり、ライブハウスは人で溢れかえっていた。二十歳の無名のシンガーがそれだけの人を集められたのは、彼女の直向きな努力の結果なのだろう。

 彼女の歌声には心に響くものがある。声には人生が表れると言われるが、私より二十歳も年下の彼女はどんな人生を歩んできたのだろうかと想像してしまう。しかし、彼女の歌声を聞いていると、歌うことが楽しくて、人前で歌えることに喜びを感じていることがひしひしと伝わってくる。その喜びを感じると、こちらまで嬉しくなってくる。そして、応援したいという気持ちが込み上がってくる。

 昨年、ファッションショーのオープニングで踊る依頼を受けた。依頼を受けたときは、とまどいもあったが依頼してくれた人の気持ちが嬉しかった。しかし、それからすぐに踊りが面白くなくなってくる。踊れば踊るほど辛くなってくるのだ。そもそも私は身体が動きたいように動かすことで踊りになるという自分自身のための踊りをしている。人に見せるためのパフォーマンスの踊りではないが、それをあえて人前で踊っている。しかし、依頼を受けてから、気づかないうちに、パフォーマンスのダンスを意識して踊ろうとしていたのだ。そもそもパフォーマンスのダンスの経験がないのに、うまくやろうとしても無理がある。辛いのは当たり前だ。それに気づいたら、身体の力が抜けて元のように楽しく踊れるようになった。

 「好きなことだけをして生きていく」と言う人がいる。しかし、前出の彼女のように喜びが身体から溢れている人は少ない気がしている。好きなことだと思いこんでいたり、存在を認められたくて人と違うことをしたいだけだったりして、自身の喜びに焦点が当たっていない。自身の喜びを真ん中に置くからこそ、人が辛い努力だと思えるようなことも楽しめるし、それを見た周りの人にも「喜び」が波及して応援される人になるのかもしれない。

 イベント当日、不思議な体験をした。30mのレッドカーペットの上で7分踊ったのだが、ものすごい数の人が見ていても、まったく人の目が気にならなかった。途中でハプニングがあったが、なんの抵抗もなく踊り続けることができた。終始、自分自身と繋がっていた感覚だけが残っている。踊り終わった後も、自身の踊りがどうだったかと不安になることもなく、「また踊りたい」という気持ちが溢れてくる。前出の彼女も同じような感覚なのだろうか。

※写真の衣装は友人に作ってもらった。服を作ることは、料理をすることと似ている。誰がどいう思いで服を作るかで着る人のエネルギーになることがわかった。

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