数年前に屋外でヨガをするイベントにボディワークで出店したことがある。3メートル四方のテントのなかに、マッサージベッドを置き、15分のお試しセッションをするというものだ。

 イベントが始まっても、参加者の目的はヨガなので、忙しくなることはない。ヨガをしている人たちを眺めていると、呼吸が浅い人が多いことに気がついた。充分に息を吐くことができていないのに、身体を曲げて目標のポーズをしようとしている様は、まるで苦行のように見えた。ヨガをしている人に限らず多くの人は、吐く息が短いため、息を充分に吸えていないことに気づいていない。

 「息を潜める」という言葉がある。呼吸音をさせず、気配を消してじっとしているという意味だ。戦国時代の武士は決闘の際、いかに相手に呼吸を読まれないよう平常心を保てるのかが勝敗を左右したそうだ。「息」という字は「自らの心」と書く。緊張すれば「息が詰まる」し、調子や気分が合えば「息が合う」。喜怒哀楽だけでなく、呼吸にはそのときの人の状態が如実に表れていることを武士たちは知っていたのだろう。それだけ繊細に呼吸を探求していたことに驚くが、相手の呼吸が読めれば、相手の次の動きがわかるという武士の感性はとても興味深い。

 身体が感じるままに躍るコンシャスダンスのワークショップに参加すると、「足を動かし続けること」と「呼吸を意識すること」に注意を向けるように言われる。これらは別々のことを言っているようで、同じことを言っているのだと、150時間くらい躍ってみて体感的にわかってきた。意識と身体がしっかりと繋がっていると「呼吸」から自然な「身体の動き」が出てくるのだ。信じられないかもしれないが、躍ろうと意識しなくても呼吸が身体を躍らせるのだ。それに身を任せていると、5時間踊り続けても疲れるどころか、身体が脱力してどんどん活性化してくる。身体は呼吸とともに動き続けることでバランスされていくのかもしれない。

 実体があるのかどうかわからない情報に踊らされて考えや行動を頻繁に変え続けることに息が詰まることがある。無責任な情報こそウイルスではないかと思うほどだ。批判されないように息を潜めるのもうんざりだ。こういうときこそ、大切なことを大切にできるように身体と息を合わせて、呼吸から次のワンステップを踏み出していきたいものだ。

▼呼吸に身を任せて躍るとこんな感じ

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脱力から心身のパフォーマンスを上げるUnfolding Bodywork

ストレス刺激、電磁波、食べ物などあらゆる刺激を受け、身体は緊張を蓄積し続けています。そして、私たちは身体が持つ本来の力を使えていないことに気づいていません。現代人に必要なのは緊張から解き放たれるために「脱力」すること。脱力さえできれば感性が開き、心身のパフォーマンスが上がってきます。

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