以前のコラムに書いたように、私は、小学2年生からメガネをかけボーイッシュなファッション。それに加えて小学4年生から突然、縮毛に! もじゃもじゃ頭です(現在も年に数回『縮毛強制』しています)。

当時、クラシックバレエを習っていたので、髪の毛を切るのは年に一度。いつも発表会が終わったすぐ後の5月に切っていたのが、4年生のとき、髪の毛を切ったあとからどんどん髪の毛が、もわもわ……。なんだか浮いてしまうのです。

ファッションに疎い私なりに工夫しましたが、今のようにヘアアイロンなどなく、メガネと縮毛で、かなりブス(泣)。

男子に優しくされない。 <特に目立つタイプの男子
存在を認めてもらえない。
冷たくあしらわれる。


「美人は得よね」「そういう経験を一度もしたことがないでしょう?」と大人になってから、聞かれたことがある。

あります。

メガネをかけ出した小2から中1まで。特に、4年生の縮毛開始からの3年ほどは、大変リアルな非モテを味わいましたよ。声もハスキーだったので、よくからかわれていたし。

ただ、よく女子が言う「私を見て」「前髪を切ったのにも気づいて」という気持ちは、そんな非モテ経験をしていても、考えたこともなければ、そういう話を聞いてもピンとこなくて、共感もできず。

基本的に男女問わず、からかわれたり罵倒されたりしやすかったのは、親からもいつも叱られてばかりいたからだと、今は思う。母や姉は人とうまく距離を置くのが得意だが、私はいつもオープンマインドだったからというのもある。

さらに、そのころから思春期特有の心の変化で、「生きるってなに?」なんて思い詰めることが増え、もともと繊細だった心が折れやすくなり、女子同士のコミュニケーションがさらに難しくなっていった。一般的な人より少し早く思春期が来てしまったらしい。

集団無視をされたり、物を隠されたりという地味な「いじめ」の扱いをときどきされるように。小学生のころはまだ、女子からのいじめは、なんていうかターゲットが変わるだけで、だれかがやられてたように記憶している。それに、その前から女子に突然裏切られることは何度もあった。クセのある女子は、どうしても浮きやすいのだ。

男子からはひどいいじめ……ということはなかったけど、でも、完全に「同性」みたいな扱いだったのが、小学生時代。仕方ない。だって、そもそも、スーパーカーのことなど、自ら「同性同士」みたいな話題で会話をしていたから、そのうえクセ毛のくるくるパーマなんてね。

意図せずイメチェン

そんな私が「女」をやってみようか、と思ったのは、中学生のとき。

中学1年生の夏に眼鏡をコンタクトレンズに変え、さらに、その冬に「ストレートパーマ」をかけたことがきっかけだった。

コンタクトレンズに変えたのは、部活が運動系でハードだったからだし、ストレートパーマをかけたのは、おしゃれな大叔母(母方の祖父の妹)が「あんたの髪の毛、悲惨やな。どうにかしたらな!」と美容院に連れていってくれたおかげ。

本人は特に「かわいくなりたい!」という願望もなく、男子に「ブス」と言われ過ぎて自分の顔をすっかりあきらめていたし、鏡もあまり見なかった。

だって鏡を見ると、自分の顔にがっかりするから。

それに比べて、近所に住む2歳下の従妹は小さいころからよく鏡を見ていた。小学校に上がるか上がらないかぐらいのときには鏡を見て、笑う練習をしていた。だから、写真もさらにかわいく写る。「良循環」ですよね。そして父親からも愛されていましたし、「かわいい」と言われて慣れていた。

心底、羨ましかった。鏡に見とれるほど自分の顔が好きで。

実際、めちゃくちゃかわいかったし、彼女のかわいさは永遠です。「咲ねえちゃん」のレベルです。私にはそんな自信はカケラもなかったどころか、性格もどんどんネガティブになっていた。いわゆる「どーせ私は」状態。

なのに、意図せず「イメージチェンジ」をしてしまった。

そうすると、あれほどボロクソに言ってた男子からの扱いが180度、変わったのです。「手のひらを返したように」という言葉を体感しました。

「その声で笑うな」「お前のねーちゃんは声きれいなのに」と私のハスキーボイスをからかっていじめていたM君までも、「お前」から「○○さん(苗字)」呼ばわり。「アイドルの○○に似てるよな」などと言いだしました。

それでも私のコンプレックスは簡単には消えません。そうでなくても父からずっと嫌われていたので、男性全員に復讐したいほどでした。男性性を多く持ちつつも、同時に、男性全般に対して恨みも持っていたようです(汗)。

私自身の中身はなにも変わっていないのに、外見が変わるだけでこれほど男子からの扱いが変わるのかということに驚きました。「うれしい!」というよりも、まず、男子全般に対してがっかりした(汗)というのが、最初の印象でした。

渡せなかったチョコレート

そんなイメチェンを果たした翌年の中学1年生の2月、私は初めて、6年生のときから気になっていた男子T君にチョコレートを渡そうと決意。でも、彼とは6年生のときからずっと喧嘩ばっかり。彼も私の筆箱やら下敷きやらを隠したりするので、チョコなんて渡してもそれをどうせまたからかわれるだろうと思うと渡せませんでした。

渡す機会を狙って、バレンタインデーの日、私は終礼が終わっても教室に残っていました。すると、なぜかT君も残っています。結局、最後は二人きりになりました。それでも渡せません。もはや自己不信感病です。完全に固まってしまっていました。そのうちT君が近づいてきました。

T君「おまえ、だれか好きな人いんの?」
私「さぁ〜 シャアみたいな顔の人かな」 <ガンダムが流行ってた
T君「ふーん。俺も、セイラさんがいればな」
私「だろうね」
二人「……」
それだけ話して、私たちは教室を出ました。本当にアホでした。帰りに「渡した?」と聞きに来てくれた友達に、「ううん。無理」と報告して、二人でチョコレートを食べました。苦い思い出? いや、甘くておいしかったです(笑)。

その後、なんのアクションも起こさないまま、結局、T君とはクラスが離れ離れになり、さらに転校してしまいました。もともと九州出身で、九州に戻ってしまったのです。初めて自分がアクションを起こそうとした相手に限って、離れてしまう(今の時代より転校は距離が遠い時代だった)。

その後悔から、私は「女として自信を持てるようになりたい」と強く思うようになりました。

ちゃんと正々堂々と(?)対等に男子とやりとりできるようになりたい。せめて卑屈になりたくない。

「努力していればいつか男子になれる」と思っていた小学生のころ。でも、さすがに胸も膨らみ、自分が女であることを受け入れざるを得なくなっていたのもあると思います。

せっかく女の子に生まれてきたからには、少しでも女として自信を持てるようになろう!と心に決め、「『女』というものを毛嫌いするのをやめよう」「ちゃんと女をやってみるぞ」と思ったのでした。

今はやりの「女性性の解放」を、孤独に一人で決意したのは中学3年生。14歳のときでした(続く)。

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